#まちのひと2022年7月

#まちのひとでは、街を眺める方、街にかかわる方を紹介しています!

街を見続ける笹井氏が綴るメルマガの一部ご紹介致します。

2022年7月26日のメルマガより一部を抜粋

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1.商う言葉
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このコーナーでは、日々の商いに役立つ「言葉」を紹介し、その意味をコラムとしてお伝えします。今日は経営者が遺すべきものついて考えてみましょう。

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自らの商いに理想を持ち
高い希望と志を掲げよう
それが自他の善に通じ
幸福につながるからである
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金を残して死ぬのは下だ
事業を残して死ぬのは中だ
人を残して死ぬのが上だ

医師、政治家であり、台湾統治を「生物学の原則」に則った民政で軌道に乗せ、関東大震災後には復興計画を担った後藤新平の言葉です。藩閥中心の時代にあって、後藤は水沢藩というかつて朝敵だった東北の小藩の出身。ゆえに後藤は「一に人、二に人、三に人」を信念に、人物本位の登用と育成に努めました。

では、人が本来持つ能力を開花させ、存分に発揮するために必要なものはなんでしょうか。それは最善の目的となる理想であり、高い希望と志。それが自他の善に通じ、幸福につながることを後藤の生きざまは教えてくれます。また後藤は「自治三訣」と言われる言葉も遺しています。

人のお世話にならぬよう
人のお世話をするよう
そしてむくいを求めぬよう

さて、経営者がその最後に何を残すべきか? 後藤を代弁するつもりで、次のように付け加えましょう。「志を残してこそ極上だ」。理想と希望を基礎とする高い志こそ商いの原動力です。

※2022/7/26メルマガより一部を抜粋

2022年7月19日のメルマガより一部を抜粋

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1.商う言葉
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このコーナーでは、日々の商いに役立つ「言葉」を紹介し、その意味をコラムとしてお伝えします。「稽古照今」という言葉をご存じですか。

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無常を心に留めよう
変化を恐れてはならない
そこに喜びを見いだし
対応するのが商人の務めだ
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「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし」。日本三大随筆の一つ、鴨長明の『方丈記』の書き出しはあまりに有名です。

長明の生きた鎌倉期は火災や地震、飢饉などの大きな災厄に見舞われた時代でした。こうした災厄や自身の苦難の体験を糧に、彼は「無常」という境地にたどりつき、「人生とは何か」を主題とした随筆は後世に残る名作となりました。これは昔話や他人ごとではなく、私たちが生きる現代も天災や人災にあふれています。

私たちが営む商いも、昨日と同じことは何一つありません。これまで来てくれていたお客様が、今日も来てくれる保証はどこにもありません。昨日まで仕入れられていたものが、これからも手に入るとは限らないのです。無常こそ常態であり、変化こそ日常であり、自分ができることが限られています。

だからこそ、変化を恐れるのではなく、変化を楽しむ心を養いましょう。自分ができることに集中すれば、できないことを思い悩む余裕などありません。商いとは変化対応業なのです。

※2022/7/19メルマガより一部を抜粋

2022年7月12日のメルマガより一部を抜粋

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1.商う言葉
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このコーナーでは、日々の商いに役立つ「言葉」を紹介し、その意味をコラムとしてお伝えします。「稽古照今」という言葉をご存じですか。

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売れる数や量よりも
その売り買いの質や
お客様との心の交流こそ
商いの本来の姿である
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行動の量をこなせば、行動の質が向上するとされる「質量転化の法則」。本当にそのとおりなのでしょうか? たとえば宇宙船で月から地球に還るとき、出発点で方角が1度違ったとします。すると到着するころには、地球5個分ずれた虚空を漂うことになります。正しいあり方と、進む方向を確かめられる羅針盤があってこそ量は質を向上させます。

古事記に序文に「稽古照今(古 [いにしえ]に稽[かんが]え今に照らす)」という言葉があります。過去の出来事や先人の教えから学び、現在の事象に照らし合わせて教訓を活かすことです。武道や芸能では今も稽古と言い、日々実践されている営みです。

何の「量」をこなすかを見誤れば、質は良くなるどころか、悪くなる一方です。量が質に転化するために必要なのは行動の量ではなく、稽古の量なのです。

商いにとって、稽古とは何でしょうか? 何が羅針盤になるのでしょうか? それは理念とお客様の心です。理念の実践を通じて、売り買いの中にあるお客様との一期一会に専念しましょう。

「ありがとうございます」と気軽に言いますが、それは本当に有り難い“奇跡”。質の高い商いのみが“奇跡”が繰り返される量につながるのです。

※2022/7/12メルマガより一部を抜粋

2022年7月5日のメルマガより一部を抜粋

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1.商う言葉
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このコーナーでは、日々の商いに役立つ「言葉」を紹介し、その意味をコラムとしてお伝えします。今回は、私たちが何気なく言う「雑用」という言葉についてです。

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雑な心でやった仕事は
すべてが雑用となり
心を込めてやった雑用は
立派な仕事になる
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「どうして草を刈ったのかね?」。留守中に、住まいの庭の草を刈った侍従の入江相政に昭和天皇は尋ねられました。入江は褒められると思い、「雑草が茂ってまいりましたのでお刈りしました」と答えました。すると天皇は「雑草という草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる」と諭されたのです。

侍従として昭和天皇に仕えた入江助政さんの著作『宮中侍従物語』にある一節です。生物学者でもあった昭和天皇のお人柄を忍ばせるエピソードですが、私たちは日々の仕事の中で入江さんと同じ過ちをしてはいないでしょうか。

この世に雑草という草がないのと同じく、仕事に雑用という用事は存在しません。あるのは、仕事に向き合う者の雑な心だけです。どんな小さな用事も、極めれば人を感動させる仕事になります。逆にどんなに立派そうな用事も、雑に取り組めば人を興ざめさせる結果を招きます。

いずれもかかる時間は同じようなものですが、得られる成果はまったく異なります。この一瞬の積み重ねこそ、人生そのものです。あなたはどちらを目指して仕事に向き合いますか。

※2022/7/5メルマガより一部を抜粋

笹井氏とは・・・

”商い”をする人々の育成を目的とした「商い未来研究所」を設立。インタビューや研修・コンサル・講演により商いにかかわる本人が認識をしていない強み課題を顕在化させ、多くの商業者を育成し排出してきた人です。

そんな笹井氏の”商いの心と技”がつまったメルマガです。

笹井清範(ささいきよのり)氏  

商い未来研究所代表

一般財団法人食料農商交流協会理事

※笹井氏のメルマガは、商い未来研究所様のページより登録いただけます。