#まちのひと2023年3月

#まちのひとでは、街を眺める方、街にかかわる方を紹介しています!

街を見続ける笹井氏が綴るメルマガの一部ご紹介致します。

2023年3月21日のメルマガより一部を抜粋

ひとに笑顔を
事業に未来を
地域に活力を

このメルマガは、お客様、従業員、取引先、地域社会、そして自分自身の笑顔を大切に考え、仕事を通じて明るい未来づくりに取り組むあなたにお届けします。

おはようございます。商い未来研究所の笹井です。

「物を知るには、
これを愛さねばならず、
物を愛するには、
これを知らねばならない」

これは、古典的名著『善の研究』を著した、
哲学者の西田幾太郎の言葉として知られます。
「物」の部分を「商品」や「仕事」に、
または「お客様」に置き換えたとき、
この言葉が私たちに問いかける意味の大きさに気づきます。

では、今回も「商いの心」をお楽しみください。

■ 目 次 ■         
1.商う言葉
2.商いの心と技
3.商人の本棚
4.編集後記

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1.商う言葉
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日々の商いに役立つ「言葉」を紹介し、その意味をコラムとしてお伝えします。今日は、利益の本当の意味ついて考えてみましょう。

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利益は大きいから
見事なのではない
質の良さを伴ってこそ
本当の価値がある
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売上高は? 店数は? 客数は? 仕事柄、私は取材でこんな質問を数多くしてきました。これら「量」は商売をする上で避けては通れない、大切なものさしです。お客様一人ひとりの満足の積みかさねが「量」として測れるからです。

しかし、それだけを拠りどころとして商いを続けると、道に迷います。ビジネスはもちろんのこと、人間どうしの付き合いにも「質」というものさしがあることを忘れてはなりません。質を伴ってこそ、量や数は意味を持ちます。質を忘れて、量や数を追求したとき、商いは滅びます。

精神、魂、心の在り方こそ商いの本質です。いくら儲かっても、巨大になっても、業界に覇を唱えても、その心が空疎では、商人の本当の喜びはありません。商業の本質は、あくまでも一人ひとりに幸せを売ることにあります。数や量よりも、その内容や人の心のありようが忘れられていては意味を持ちません。

これは利益も同じこと。利益とは、努力への報酬であり、危機への備えであり、未来への投資です。お客様からの感謝と期待の表明です。お客様からいただく澄みきった善意なのです。

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2.商いの心と技
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これまで出会った4000人以上の商人から私は多くを学びました。拙著『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』は、その中で学んだことをまとめています。

ここではその中でも印象に残り、あなたにもお伝えしたい商人を紹介します。今回は、単位面積当たり売上高全米ナンバーワンを誇る店の話です。

■正直さと誠実さ  アップルストア

正直さとは、言葉を行動に合わせること。誠実さとは、行動を言葉に合わせること。この二つは、何か迷ったときに自らの指針にしている言葉です。

正直とは、やっていることを表現するとき、言葉を行動に一致させることを言います。たとえば嘘をついたなら、「嘘をついた」と言えることです。

誠実とは、「こうありたい」と言うとき、そのとおりに行動することを言います。たとえば「嘘をつかない」と言うなら、現に嘘をつかないことを言います。

正直であること。
誠実であること。

お客様に愛され続ける商いにも、実はこの二つが欠かせません。いえ、究極はこの二つだけがあればいいのです。これは、そんな店の一つです。

2001年に誕生し、今では25の国と地域に500店舗以上を展開、単位面積当たりの売上高では2011年以来全米ナンバーワンであり続けている店があります。アップルの直営店「アップルストア」で、日本にも現在10店舗が営業しています。

単位面積当たり売上高全米ナンバーワンと書きましたが、日本経済新聞の報道によると、2位のティファニーの2倍弱、3位コーチの3倍強にあたるそうです。もちろん、アップル製品は直営であるか否かを問わず、インターネット上で販売されています。

そして、直営店で購入するより安い場合がほとんどです。それなのに、なぜアップルのリアル店舗直営店は、多くのアップルユーザーを惹きつけるのでしょうか。

「すべてのAppleの直営店の核にあるものは、地域社会の人々が互いにつながり、学び、それぞれの創造力を解き放つために集う場所を提供することで、教育や発想を刺激したいという思いです」とは、アップルが宣言するアップルストアの使命です。その使命を言葉だけに終わらせず、顧客体験として実現しようとする営みがアップルストアにあります。

そして、そこで顧客に接する販売員は第一に正直であり、誠実であることが求められていると言います。一人のお客様のために心からの誠実を尽くし、一人のお客様のために損得よりも善悪を優先する姿勢があります。あなたもぜひ、体験してみてください。

そして、正直と誠実、この二つを持ち合わせなければ、お客様はもはや店を認めてくれない時代です。コロナはそれを加速させました。

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3.商人の本棚
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朝に礼拝、昼に精励、夕に感謝。

これが私の日課ですが、もう一つあります。
それは眠りにつく前のひとときの読書。
ここでは私の読書歴の中から、商う皆さんにお奨めしたい本を紹介します。

■飯田結太『東京かっぱ橋リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)

「この店には未来がない」。ほとんどの従業員がこう言い残して退職していった店がありました。「俺だってこんなに一生懸命にやっているのに」と店主は彼らを責めるだけでした。

その店がいまや従業員一人ひとりが個性を生かし、生き生きと仕事をしています。仲間どうしが協力しあい、お客様一人ひとりの満足のために全力を惜しみません。同じ店主のもと、どうしてこれほど大きな変化があったのでしょうか。

それは店主の心が変わったから、彼が感謝の心を持つようになったからです。それまで他者を指して問い詰めていた指を、彼は己に向けたのです。「従業員、お客様、そして家族、自分は本当に彼らのことをおもいやれていたのか?」と。

視点を変えて世界を見るようになると、彼の中に「感謝」の心が芽生えました。目に映るものはすべて、奇蹟というべきありがたいものだと気づいたのです。当たり前に思っていたすべてが、どれも大切な天からの贈り物だと悟ったのです。

商人にとっていちばんの幸福は、優秀な人材を持つことです。優秀とは文字どおり、優しさに秀でるという意味です。それを相手に求めるのではなく、誰よりも自分が他者に優しくありましょう。

その店とは、日本有数の料理用品のまち、東京かっぱ橋の料理道具専門店「飯田屋」。オワコンと揶揄される「金物屋」「商店街」「実店舗」でありながら大繁盛。その秘密は店主の著書『東京かっぱ橋商店街リアル店舗の奇蹟』で明かされています。

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4.編集後記
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いつもメルマガをお読みくださり、ありがとうございます。何か一つでも心に触れ、行動を変えるきっかけとなれば光栄です。ご意見、ご感想をお寄せいただけたらうれしいです。

このメルマガ以外にも、Facebook、Twitter、ブログでも、商いに役立つヒントをお届けしています。下にURLを記しましたので、ぜひご覧になってみてください。

連載コラムとしては、日本商工会議所発行の新聞「会議所ニュース」に月一度寄稿しています。こちらもぜひご覧ください。
https://ab.jcci.or.jp/series/1887/

それでは次回、またお会いしましょう。今日も良い日になりますように!

笹井氏とは・・・

”商い”をする人々の育成を目的とした「商い未来研究所」を設立。インタビューや研修・コンサル・講演により商いにかかわる本人が認識をしていない強み課題を顕在化させ、多くの商業者を育成し排出してきた人です。

そんな笹井氏の”商いの心と技”がつまったメルマガです。

笹井清範(ささいきよのり)氏  

商い未来研究所代表

一般財団法人食料農商交流協会理事

※笹井氏のメルマガは、商い未来研究所様のページより登録いただけます。